「インバウンド・マーケティング〜見込み客を引き寄せ,永久顧客に対する次世代のマーケティング戦略〜」
この本の話を始める前に,一つ話をしたいと思う.
バラク・オバマが2008年のアメリカ合衆国大統領選挙で当選したことをご存知だと思う.
2008年以前,高名で資金力豊富なヒラリー・クリントンにくらべ,バラク・オバマはほとんど名前の知られていないイリノイ州選出の1年生の上院議員に過ぎず,資金も限られたものだった.
では,なぜオバマは当選できたのだろうか.
その一つの要因となったのが,彼が展開したマーケティング戦略である.
選挙戦の初期,オバマはヒラリーが採用するであろうアウトバウンドマーケティング[1]を利用していたなら,2008年のアメリカ合衆国大統領選挙の結果は違っていたかもしれない.
限られた資金しかなかったオバマにとって,メールDM,テレマーケティング[2],テレビ・ラジオCMにおいて,到底勝ち目がない.
そこで,オバマは新しいマーケティング戦略で対抗した.
フェースブックの共同創業者でオバマのインターネット戦略担当を務めたクリス・ヒューズは,
「我々のオンラインキャンペーンの目的は,一人ひとりにバラク・オバマの価値と我々のキャンペーンそのものを理解させ,さらに.人々がキャンペーンへ直接参加することを可能な限り簡単にすることだった.
我々は『Eメール』,『テキスト・メッセージ』,『オンライン・ネットワーク』などを駆使して人々との直接的なチャンネルをできるだけ多く確率する努力をした.『MyBarakObama.com』や『フェイススブック』のような『ネットワーキング・テクノロジー』を使ってキャンペーンのメッセージを一気に伝播させようと試みたんだ」
この戦略は大成功した.
オバマのブログ,フェイスブックのページ,ツイッター,リンクトイン,ユーチューブなどを通じて直接オバマにつながるようになった.
その結果は,もうお分かりだと思う.
この選挙でオバマのマーケティング戦略に注目するポイントがいくつかある.
一つは,サーチエンジンを優れたイコライザーとして活用し,ライバルを蹴落とす場所として利用した事.
一つは,ソーシャルメディア,例えばツイッターを一方通行的な話をするためのツールとして使わなかったことである.
オバマが大統領選挙で取り組んだこのマーケティング戦略こそが,
インバウンド・マーケティングである.
次回から,インバウンドマーケティングについて,話をしていきたい.
できたら.
[補足]
オバマのライバルであったジョン・マケインのフェイスブックのフォロワーは61万に対し,オバマは300万人以上に増加させていた.
このことからも,オバマはいかにソーシャルメディアを利用していかがわかる.
[1]DM、テレマーケティング、テレビCMといった従来のマーケティング
[2]電話を使って顧客に直接販売すること
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0
インバウンド・マーケティング〜見込み客を引き寄せ,永久顧客に対する次世代のマーケティング戦略
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